贈与契約書の作成ポイント

贈与契約書

1.贈与契約書の必要性
お金や株などの資産をタダで人にあげる時は贈与契約書を作成しなければならない、とする法律はありません。贈与契約書を作成するか否かについては任意です。
しかしながら贈与契約書を作成することにより、将来の無用な相続トラブルを避ける効果や受取った側の資産を受け継ぐ責任を自覚させる効果が期待できます。

贈与契約は(忘れたころに訪れる)税務調査時の証拠となったり、親族間で「争族」が発生した場合に、少なくとも贈与契約書に記載された財産移転については当事者双方の了解があったことの証拠になります。特に下記のようなケースでは贈与契約書が役立ちます。

1) 贈与者が将来亡くなった時に相続税の課税対象になる場合
2) 贈与者の相続対策として暦年贈与をする場合
3) 贈与が家族間の財産配分バランスを崩す場合
4) 贈与なのか貸付なのか、はっきりさせておきたい場合
5) 贈与者に認知症が進んでいる場合など

ただし贈与契約書は万能ではありません。
税務署に対して贈与契約書があれば直ちに贈与が成立していることを示す証拠になる、という訳ではありません。贈与契約書に加えて贈与の実態、例えば受贈者が贈与を受けた預金を消費・管理していることもポイントになります。つまり税務署は形式的な契約書と実質的要件の両方が揃った時に、すんなりと贈与の成立を認める、と考えておいてください。

2.贈与契約書の記載事項
次に贈与契約書を作成することは難しいのでしょうか?答えは「簡単」です。
以下の項目を記載して、贈与者と受贈者が署名・捺印すれば贈与契約書は完成です。

1)贈与をする旨(資産を無償で譲り、受取ること)
2)贈与者(例えば親)の氏名・住所
3)受贈者(例えば子供・孫)の氏名・住所
4)財産の具体的な内容・金額
5)贈与契約をした日付

贈与契約書のひな型はグーグル検索すれば大量に出てくるので、上記項目が記載されていれば、文体の好みで選んでも問題ありません。

3.贈与契約書が満たすべき要件
(署名・捺印)贈与契約は理論上、双方当事者の合意により成立しますが、贈与の実態を裏付けするため、氏名は自署が良いでしょう。印鑑は個人別の印であれば実印でなくても問題ありません。
(確定日付)証拠力を高めるため公証人役場の確定日付を取った方が良いとする意見もありますが、確定日付は締結日を証明するだけなので、取らなくても問題ありません。将来の「争族」を避けるため証拠力を高めたい、という主旨であればむしろ、揉めそうな当事者に契約の署名に立会人として参加してもらった方が良いでしょう。
(印紙)現金や預金を贈与する契約には貼付不要です。

4.贈与契約の日付と送金日
贈与契約の成立日は当事者双方の合意日です。送金日は契約日と同じである必要はなく、別途指定する日でかまいません。贈与税の計算期間が暦年となっているため、贈与は年末に集中する傾向があります。契約日が年内で送金日が翌年になるなど契約日と送金日が異なる場合は、契約書の作成が必須です。

5.贈与契約書の締結式
贈与の目的を相続税対策に置く場合は必要ないと思います。しかし贈与と共に贈る側の思いを伝えたい場合は、贈与契約の締結式をやってはどうでしょうか。その際に、無駄使いをしないなど、贈る側の気持ちを伝えると良いでしょう。

5.贈与資金の受渡は銀行送金で
贈与資金を渡す方法として銀行送金か現金のいずれかの選択ができます。贈与の目的を相続税対策に置く場合は、贈与の証拠を残すため銀行送金で実施すべきです。

ところで子どもたちの金銭教育の目的のため敢えて現金で渡す方法もあります。贈与契約締結時に現金の受け渡しをするのです。電子マネーがこれだけ普及しているので1万円の札束はそれなりにインパクトがあるはずです。この場合でも贈与の証拠を残す目的で、できるだけ、同日内に同金額を贈与者の口座から引出し、受取人の口座に預け入れてください。

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