住宅資金贈与の非課税特例のポイント解説

【1】住宅取得と贈与のタイミングに注意が必要
【2】対象となる住宅取得費用の範囲は意外に狭い
【3】「住宅取得資金贈与の非課税特例」の適用には贈与税申告が必須条件

「住宅取得資金贈与の非課税特例」とは

父母や祖父母から、自宅の対価に充てるための資金の贈与を受けた場合、一定の条件を満たすことで贈与税が非課税となる制度です。贈与税の3大特例の一つです。

2021年12月までの時限立法措置ですが、政府が主導する景気刺激策かつ金融資産の世代間移転を促す政策の一環ですので、形を変えながら継続される可能性が高いと考えられます。

教育資金一括贈与の非課税特例

結婚子育て一括贈与の非課税特例

「住宅取得資金贈与の非課税特例」の要件は

住宅資金贈与の特例を適用には、条件が詳細に規定されてます。

1) 対象となるケース
子どもが両親または祖父母から贈与を受けるケースが該当します。

2) 対象となる子ども
贈与を受けた年の1月1日で20歳以上であることが条件です。なお、子どもの所得が2,000万円を超える場合には適用できません。

3) 非課税枠
「住宅のスペック」や「消費税の税率」(8%か10%)により異なり、パターン別に300万円から3,000万円が非課税枠の上限となります。住宅スペックと消費税が高いほど非課税枠が増えます。

4) 対象となる住宅
自宅が対象です。他人が済む予定や投資用住宅は対象外です。自宅であれば土地や増改築も対象です。

5) 贈与と物件の引渡しのタイミング
贈与の翌年3月15日までに住宅の引渡を受け、同日までに自宅として居住していることが条件です。

6) 住宅のスペック
対象となる住宅のスペックは新築と中古住宅ごと、例えば床面積50㎡以上240㎡以下とか、中古マンションは築25年以内というように細かく規定されてます。

7) 申告義務
贈与税が全額非課税となる場合でも、贈与税の申告が必要になります。

さらに「住宅取得資金贈与の非課税特例」の申告には、適用した要件を証明するための様々な証拠書類を添付書類として提出する手間がかかります。

複雑な条件を整理して見やすくした一覧表

贈与契約書を作成してください

「住宅取得資金贈与の非課税特例」を適用するために贈与契約書の作成は必須ではありませんが、将来、相続が発生した場合や生前贈与の受贈者ごとの管理をする目的で贈与契約書を作成しておくことを推奨いたします。

贈与のタイミングはできるだけ住宅引渡の直前に

「住宅取得資金贈与の非課税特例」は贈与された資金が自宅の購入資金に充当されていることが前提になります。

よく「お金に色は無い」と言われますが、贈与を受けてから住宅資金の支払いまでの期間が短いほど、贈与が住宅購入に紐づいた資金として説明しやすくなります。

特に、贈与のタイミングから住宅引渡までの間に年末をまたぐ場合は注意が必要です。「住宅取得資金贈与の非課税特例」を適用するためには、原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに、受贈者本人が居住開始する必要があります。

なお、贈与のタイミングが住宅の引渡後になった場合は「住宅取得資金贈与の非課税特例」は適用できません。

住宅取得費用の範囲は意外に狭いです

贈与された資金の充当先となる住宅取得費用の範囲は限定的です。贈与資金と資金使途の紐づけをトレースしやすいように範囲を狭めていると考えられます。

1)範囲内
住宅の設計料や建築工事代金、住宅購入代金、増改築の場合は工事代金、電気設備、土地購入代金など

2)範囲外
契約にかかる印紙代、不動産仲介支払手数料、不動産取得税、登録免許税など

贈与資金をどのように住宅購入資金に充当するか

贈与資金が住宅資金に充当されたことの紐づけを説明しやすくするため、小分けにせず、建築購入代金や住宅購入代金に充当すると良いでしょう。

税務署からの問合せに回答することを想定しておくと整理しやすいと思います。

契約書の名義、銀行振込の履歴、登記における持分なと一貫した書類を準備してください。

資金負担に応じた登記をしてください

購入した住宅の登記申請する際は、購入資金の負担割合で登記申請してください。

例えば専業主婦の妻が実家から500万円の贈与を受け3,000万円の自宅を購入した場合、妻の持分を500/3000として登記申請してください。

思い付きで夫婦それぞれ1/2の持分として登記した場合、税務上は夫から妻へ1,000万円の贈与があったと看做しますので注意が必要です。
(3,000万円×1/2-500万円=1,000万円)

贈与税ゼロでも贈与税の申告を忘れずに

住宅資金贈与の非課税特例を適用した場合は、たとえ贈与税がゼロになる場合でも贈与税の申告が必要になります。

税務署は、特例の適用により納税額がゼロになった経緯を把握しておく必要があるので、税額ゼロでも申告することを特例適用の要件としているのです。

「住宅資金贈与の特例」と「暦年贈与」の併用は可能

住宅資金贈与の特例による非課税枠が仮に1,200万円の場合、暦年贈与の非課税枠110万円を加算して合計で1,310万円が非課税枠となります。

非課税枠を超える贈与に対しては暦年贈与の税率(10%~55%)が贈与額に応じて段階的に課税されます。

「住宅資金贈与の特例」と「相続時精算課税」との併用は要注意

相続時精算課税制度を選択した場合、住宅資金贈与の特例による非課税枠が仮に1,200万円の場合、同制度の非課税枠2,500万円を加算して合計で3,700万円が非課税枠となります。

非課税枠を超える贈与に対しては相続時精算課税制度の税率(20%)が一律に課税されます。

相続時精算課税制度はあくまでも贈与税の先送りの効果しかありません。

贈与者が相続税の課税対象になる場合は、相続時精算課税の非課税枠も含めて相続税の課税対象になる点は理解しておくことが必要です。

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