死亡後の預金凍結への対応策の提案
【1】凍結された預金の払戻には手間と時間がかかり死亡前後の資金繰りが大変です
【2】相続人全員の合意のもと配偶者名義の新口座へ資金を移し凍結を回避できます
【3】死亡時の預金残は名義預金として財産目録へ計上します
死亡前後の資金繰りの課題
亡くなる前は介護費や医療費など、亡くなった後は葬儀費用、未払の医療費・介護費・固定資産税など故人が負担すべき費用の精算が必要になります。
死亡したことを銀行に伝えると遺産分割協議を完了するまで口座は凍結されます。また死亡直後のドタバタの中で銀行所定の必要書類を整えるのは大変です。
名義預金活用による死亡前後の資金繰り提案
生前に、本人と相続人全員の合意のもと、配偶者など相続人名義の新規口座を開設、まとまった金額を移動しておいて、死亡前後の資金繰りに備える方法です。
1)全員の合意
預金の凍結に備えて本人の預金を配偶者の口座に移管して、死亡前後の資金繰りに備える方法について、本人と相続人全員の合意を得ます。
2)配偶者名義の口座へ資金移動
配偶者など相続人名義の預金を新たに開設し、必要と思われる金額を本人口座から新口座へ資金移動します。
3)資金使途は限定して記録
資金使途は本人のために限定します。領収証と出金記録を保存しておいてください。
4)預金と現金は名義資産として財産目録へ計上
相続税の申告の際は、死亡日時点の預金残高を名義預金として財産目録へ計上してください。引出して手元にある現金も忘れずに計上しましょう。
死亡後の預金払戻の留意点
死亡後に故人の預金口座を払戻すことは相続放棄との兼ね合いに留意する必要があります。
相続放棄の手続き完了前に故人の預金を払戻す行為により、裁判所が相続放棄を却下する可能性が出てきます。僅かでも相続放棄をした方が良い可能性がある場合は留意ください。
遺産分割前の相続預金の仮払制度
2019年7月1日から民法改正の一環として死亡後の預金仮払制度がスタートしました。遺産分割の前でも銀行毎に最大150万円まで預金の仮払いを認める制度です。
仮払のためには、本人確認や法定相続人であることの証明書など各銀行所定の書類の提出が必要です。払戻の期間は銀行によりまちまちですが1週間から3週間ほどかかります。遺産分割前に仮払ができるようになったとは言え、手間と時間は相応にかかります。