厳選 自分たちで相続税申告するための参考書籍
街の本屋が激減しているだけでなく、大手書店チェーンの文教堂が事実上の倒産するなど、実際に書籍を手に取る機会が減ってきています。特に相続のように専門的な分野は大規模店舗でないと品揃えが不十分なため、書籍選びに苦労します。
そこで現在流通する相続に関する書籍の中から、一般の方が自分たちで相続税の申告をする際に役に立つ書籍を厳選し、紹介させていただきました。
まずは書籍を抽出した際の視点について説明させて頂きます。
Ⅰ 読者による分類
一般に税金に関する書籍のターゲットは「税理士向け」と「一般向け」に分類できます。今回紹介する書籍は「一般向け」を基本としつつ「税理士向け」の中から平易な解説がなされているものとさせて頂きました。
Ⅱ 「相続」と「相続税」の分類
葬儀・お墓・年金・名義変更・遺産分割などの相続手続きはすべての遺族に関係しますが、相続税の申告が必要になる方は遺族の13%前後です。本サイト目的は相続税の申告を自分たちですることですが、関連する情報として相続手続きの中から実務的で理解しやすい書籍を紹介させて頂きました。
Ⅲ 家族の属性による分類
相続税に関して発生するトラブルや対応策は企業オーナーや大地主のような富裕層とサラリーマン家庭では大きく異なるにもかかわらず、相続税に関する書籍は両者をまとめてターゲットにする傾向があります。またアイキャッチのため富裕層で起きたケースを引き合いに出して相続税のリスクを強調する傾向があります。
当サイトのターゲットはサラリーマン家庭なので、そうした傾向が適切な範囲内に収まっている書籍を紹介させていただきました。
■「相続税申告」について
「自分でできる相続税申告(自由国民社)」相続税の申告に関する項目が網羅されているので辞書代わりに使える「一般向け」の書籍です。平易な用語で解説していて、この分野の先駆け的な本です。
「相続税の申告が自分でできる本(清文社)」相続税の基本から申告書の記載までQ&A形式で解説している「一般向け」の書籍です。少し大きめ(B5版)なので土地の評価などの図形は見やすく、良い本です。自分たちで相続税の申告をする場合は、両方とも購入して、自分たちの状況にフィットする項目ごとに使い分けすれば良いと思います。
【税理士の業務をやさしく解説した書籍を2冊紹介します】
自分たちで相続税の申告する場合だけでなく、結果的に税理士さんへ依頼することになった場合にも役に立つ書籍になります。ここで紹介する2冊はいずれも「税理士向け」ですが、具体的・実務的な内容になっていて、一般の方でも利用できる内容です。
「顧問税理士も知っておきたい 相続手続・書類収集の実務マニュアル(中央経済社)」ベテラン税理士が新人税理士へ指導する際のマニュアルをまとめたイメージの書籍になります。税理士として顧客に向合う際の専門家としてのスタンスや相続に関して顧客から受ける質問への対応などが、筆者の言葉でズバリ解説されている良い本です。
「はじめて相続を扱う税理士のための 相続税申告に係る資料の収集と分析(税務経理協会)」税理士向けの相続税セミナーの後に講師と生徒の間で交わされるであろう質問事項をコンパクトにまとめた書籍です。必要となる資料の入手方法や意味などを調べる辞書代わりとして利用できます。
■土地の評価方法について
相続税の申告を自分たちで実施するとなると一番の難関が土地の評価になります。残念ながら一般向けの土地の評価に関する書籍は見当たりません。土地評価を取り出して書籍化する以上どうしても網羅的、専門的にならざるを得ない面があるかも知れません。
「プロが教える土地評価の要諦(清文社)」筆者は国税局一筋、最後は税務署長まで勤めた方です。少し大きめ(B5版)で実際の帳票や現場写真を参照しながら解説されてます。目次と巻末の索引がしっかりしているので土地評価の際のマニュアルとして利用できます。
「土地評価実務の教科書(現代書林)」理系のコンサルタントが記述し税理士が監修する形式をとっており非常に緻密な内容になってます。特に公図や地積測量図の解説に関しては歴史的な沿革まで調べられており参考になります。標題が教科書になっているように土地評価に関する辞書として利用できます。目次または巻末に記載されている「土地評価チェックポイント60選」を頼りに本文を参照すると良いでしょう。
「4STEPで身につく<入門>土地評価の実務(清文社)」「税理士向け」の書籍ですが、税理士と不動産鑑定士がそれぞれの分野からコメントを加える形式をとっていて、少し大きめ(B5版)で見やすく、一般の方でも抵抗なく利用できると思います。
筆者が一番の推薦しているのですが、既に絶版になっており入手しずらい状況になっています。(定価は3,600円(税別)です。中古品の値段が高くなっています。)
出版社の方がご覧になっていたら、一般向きに最適なので、是非とも再販して頂きたいと思います。
■「相続」について
「身近な人が亡くなった後の手続きのすべて(新訂版)(自由国民社)」身内が亡くなった後「亡くなった後の諸手続」「年金の手続」「名義変更」から「相続税の申告」まで網羅してる「一般向け」の書籍です。重版した人気本です。索引があるので辞書代わりに手元に置いておくイメージでしょうか。
「もしもの時の手続き・相続完全ガイド(クロスメディア・パブリッシング)」改正相続法に対応し、死後の手続き全般をわかりやくす解説した「一般向け」の書籍です。専門家のワンポイントアドバイスは役に立ちそうです。
「大切な身内が亡くなったあとの手続きの本(枻出版)」身内が亡くなった後、「1週間以内」「1カ月以内」「1年以内」にやるべき事を大きな字で図解してあり読みやすい「一般向け」のムック本(A4版)です。やるべきことの「労力」を星5つで評価している点は参考になります。
「大切な人が亡くなったあとの手続きと相続対策のすべて(宝島社)」改正相続法へ対応し、死後の手続きを弁護士の立場から一通り解説した上、「LGBT」「国際結婚」「ペット」などの分野に言及している本です。
■「相続のトラブル」について
相続や相続税に関するトラブルに関しては、見出しが目を引くため週刊誌でも定期的に特集が組まれるほど関心が高い分野です。
相続税申告を自分たちでやる場合、相続人間のトラブルを未然に防ぐ目的でベテラン税理士の知見やアドバイスを相続人が情報共有しておくことは意義があると思います。ただし登場するエピソードにはサラリーマン家庭から富裕層まで様々なご家庭が舞台になっている点はご留意ください。
「ぶっちゃけ相続 相続のリアルをぶっちゃけます(ダイヤモンド社)」
「やってはいけないキケンな相続(角川新書)」
「やってはいけない「実家」の相続(青春新書)」
「日本一の税理士が教えるもめない相続の知恵(SB新書)」